とても悲しいことがあって、人は暗い森の中で膝をかかえていました。 そして冷たい雨が。 「いまの気持ちは、夜の闇。この思いを誰もわかってくれない」 そこに「ホウ」と鳴き声。 大きな羽をはばたかせたフクロウが、近くの枝にとまります。 「ほら、飛んでくる鳥まで不吉じゃないか。僕は雨に濡れそぼっていくだけだ」 フクロウが口を開きました。 「ねえ、僕はずっとそばにいるよ」 えっ、と驚いて人が顔を上げると、フクロウは四つ葉のクローバーをくわえています。 「僕は夜の鳥。そして希望の鳥。夜はいつも、明るい朝を待つ時間」 気がつけば雨は温かく流された涙のように変わり、森のしっとりした湿度が人をくるんでいます。 クローバーを人の掌に落とし、フクロウは「ホウ」とまた鳴きました。 「クローバーが朝露に濡れる時、君は違う世界を見ているさ」 -------------------- 松尾たいこが釉薬で描いたアートをデータ解析し、陶板にシルクスクリーン技術で印刷した後、焼き付けて製作。独特の鮮やかな色彩を精細に再現した複製陶板画です。 ■サイズ：約W23.5cm×H23.5cm×D0.7cm ■重量：約900g ■素材：陶板

初めての公園。 テリア君は飼い主に連れられ、おずおずと足を踏みいれました。 いろんな犬。堂々としたスタンダードプードル。 目元がくっきりと凛々しいビーグル。 潤んだ瞳が愛らしいチワワ。 むかしのサムライのように忠実で勇敢な柴犬。 毛むくじゃらで顔が平たく足の短いテリア君は、恐縮してしまいました。 もう少し足が長くならないかな。 もう少し鼻すじが美しくならないかな。 今日は快晴。 子供たちが広場でキャッチボールしています。 ひとりの子が投げたボールが大きくそれて、新緑の植え込みの中へとすぽっとはまり込んだようです。 あれー、どこ行っちゃったんだろう？ テリア君は思わず駆け寄り、短い手足を駆使して植え込みにもぐり込み、瞬く間にボールを見つけます。 ありがとう！助かったよ！　ボールを手に駆けていく子供たち。 僕でも役に立った！ みんなそれぞれの色、それぞれの役割がある。 僕は僕、君は君。 同じになる必要なんてない。 そのままでいいんだ。 自分の中に青い鳥を見つけましょう。 -------------------- 松尾たいこが釉薬で描いたアートをデータ解析し、陶板にシルクスクリーン技術で印刷した後、焼き付けて製作。独特の鮮やかな色彩を精細に再現した複製陶板画です。 ■サイズ：約W23.5cm×H23.5cm×D0.7cm ■重量：約900g ■素材：陶板

自分の居場所がないと感じていた。 人としゃべるのが苦手だった。 何もかも忘れたい。 そう思って街から街へ。 気がつけば、渡り鳥のような日々。 ある街で、小さなカフェに出会った。 はっとするほど青い、リンドウの鉢植えがあるお店。 片隅にいた猫を撫でると、猫はニャーゴと鳴いた。お店の人が言う。 「ねえ、猫を手なずけるのがずいぶん得意だね」 考えたこともなかったけど、そうなの？ そして気がつけば、その街に居着いていた。 カフェには、自分を好いてくれる猫たちがいつの間にかたくさん。 「人に好かれていないと思ったけど、猫は自分を好いてくれる。 そして猫を愛しているお客さんがやってきてくれる」あいかわらず無口な毎日。 でも猫カフェに、ひっそりと居場所をみつけた。 -------------------- 松尾たいこが釉薬で描いたアートをデータ解析し、陶板にシルクスクリーン技術で印刷した後、焼き付けて製作。独特の鮮やかな色彩を精細に再現した複製陶板画です。 ■サイズ：約W23.5cm×H23.5cm×D0.7cm ■重量：約900g ■素材：陶板

白い馬は、押し寄せる波を見ていました。 泡立つ白い波頭は、まるで馬のたてがみのよう。 崩れながら巻いていく波のロールは、馬の躍動する筋肉のよう。 「美しい大きな馬だ。あんなふうに海を駆け抜けたい」 自分の限界を試してみたい。 いつの日か、きっと。 でも馬は、海を走ることはできません。 馬にできるのは、ゆっくり泳ぐことだけ。 悩んだ白い馬は、海岸を放浪します。 何ヶ月も、何年も。 ある日、白い馬は岬を見つけます。 鋭利なナイフのように尖った岬。 白い馬は突端を目指し、全力で走ります。 蹄が力強く大地を蹴ります。 崖を飛び越え、白い馬は空へと駆け上がっていました。 すべるように海面が後ろに流れ、そして太陽の輝く水平線へ。 -------------------- 松尾たいこが釉薬で描いたアートをデータ解析し、陶板にシルクスクリーン技術で印刷した後、焼き付けて製作。独特の鮮やかな色彩を精細に再現した複製陶板画です。 ■サイズ：約W23.5cm×H23.5cm×D0.7cm ■重量：約900g ■素材：陶板